年頭にあたって 〜介護保険制度の今後について〜
明けましておめでとうございます。
介護保険制度が始まって、早や10年が経とうとしています。要介護者数は制度開始前の予想よりも速いペースで増加し、介護サービスのご購入者である要介護者マーケットは確実に拡大してきました。さらに今後も520万人程度まで拡大することは確実視されています。(現在は390万人) ところが、サービス提供者である介護事業者(特に在宅介護事業者)は制度改定や報酬見直し等により、むしろ経営環境が悪化し、スリム化を余儀なくされたところも決して少なくありません。2009年度の報酬アップもその多くが「一定以上の規模」が無いと加算されないファンドに充てられました。筆者は予防給付ができた主旨は、いずれ介護保険制度から切り離されるステップとも見ていたくらいです。
 昨年は選挙というイベントもあり、介護に携わる者の処遇改善に世の中の目が向いた年でもありました。できることなら今後の政権には、要介護者への給付水準も介護事業者の報酬体系も、プラスの方向を維持して欲しいものです。筆者は過去にも同様の主旨のことを述べていますが、年頭に当たって「社会保障制度の充実とそのための国民負担の合意取り付け」の大切さを繰り返したいと思います。

ポイントは国として「財源をどう確保するか」、もっと言えば「国民負担率(税負担と社会保険料負担の国民所得に対する割合)」議論をきちんとするべきであるということです。これまで政府は高齢化が最高点に達しても国民負担率は50%に抑えることを目標にしてきていますが、その過程が今の姿(予算に合わせて年金も医療も介護も一人当たりを縮減してきた)と言えるでしょう。
 筆者は、要介護者ご本人・ご家族、現場で介護に携わる人間にとつて『これ以上給付水準が下がることはもはや耐えられない。新たな財源確保がなされなければ、要支援が介護保険から切り離されることも想像に難くない。また介護職の待遇向上も掛け声だけに終わる恐れは多い。』と考えてきました。国は、福祉目的税を含めて、国民に対して「このくらいの(税)負担増/国民負担率ならこのこらいの給付(介護、医療、年金)」「もう少し上げてこのくらいなら・・・」「現状なら・・・」という具合に想定できる負担と給付の国民負担率モデルを示すべきです。そのうえで、国民が自助努力重視型の福祉を選ぶなら仕方ありませんが、これまでは「なんとか財源に併せて給付を合わせようとしている」姿しか見えて来ませんでした。もっとも、お役人が財源を増やす手立てを講ずるのは難しいので、財源確保/望ましい国民負担率の合意形成は、まさに政治的課題でしょう。『官僚主導から政治主導へ』という流れはどの政党が政権を取るかに関わらず、今後の社会保障制度に手を入れるためには必然のことだと思います。国会の場だけでなく、テレビなど茶の間でも見えるところで、国民負担率議論が活発になされていくことを切に望みます。もちろん安易な増税には反対で、「事業仕分け」や「使い道限定」などの『無駄減らし』と車の両輪で議論が進んで行くことを望んでいます。以下に先進国の2005年(日本は2007年)の国民負担率を揚げておきます。

日本40.1% スウェーデン 70.7% フランス 62.2% ドイツ 51.7% イギリス 48.3% アメリカ 34.5%
| 介護保険制度を考える | 11:04 | comments(0) | trackbacks(0)
介護報酬改訂について一言  −地域に根ざした中小事業者を大切にしてほしい
 来年度からの介護報酬改定が決定した。居宅介護支援の逓減制(一定の件数を超えると遡って報酬単価が下がる仕組)は廃止されて、40件未満、40〜60件未満、60件以上で単価が決まる仕組みとなった。例えば44件の場合、超えた5件分の単価は下がるが、39件までの単価はそのままということである。つまり件数が増えれば全体収入は必ず増えるので、能力の高いケアマネジャーはその力を発揮しやすくなったわけである。 また、認知症高齢者や独居高齢者への支援として月150単位の加算が新設されるなど、評価できる点はある。ただし、多くの介護事業者が期待していたような全体報酬の3%アップとは程遠く、「加算」を重点に増額分が振り分けられた格好である。
特定事業所加算(機砲覆匹篭砲瓩謄蓮璽疋襪高く、中小事業所には高嶺の花である。また、加算(供砲麓茲蠅燭い隼廚Δ、それでも小さな事業所には厳しいかもしれない。介護分野は言わば「心が中心軸にある労働集約型産業」なので、規模の大小が他業種に比して経営に影響しない業種であった。ところが、今次改定も含めて一定の規模がないと報酬が上がらない仕組みが拡大するとすれば、介護の心はどこに行ってしまうのか心配である。結果として、廃業した大手介護会社の2番手3番手を生み出すような方向を国みずからが作っていないか疑問が残る。
 話題はそれるが、月末の25日や30日には、都心の都市銀行ATMには長い行列ができる。自動ドアが閉まらないほど外までお客さんがおとなしく並ぶ風景に慣れてしまった。私は自分を常識人と思っているがそれでも「よくこれでお客さんの暴動が起きないな」と思ってしまう。しかも、少し前は空前の利益を出していながらの店舗閉鎖・店舗合併の嵐であった。店舗合併により、小社も使う店舗が2回も変わった。「ムッ」として取引口座をこっちの都市銀行から他に移したいと思っても、都市銀行は合併の連続でどこも同じようなものになってしまった。はっきり言って顧客不在である。(大口顧客だけは大事にされているのだろうが)
 このような現象は介護分野では起きてほしくない。行政サイド、保険者、規模の効率化だけで物事が進められ、変えられていくのは介護・福祉の健全な発展に良い事だとは思わない。過去の記事でも申し上げたが、国民に給付と負担の合意を取り付け(このくらいの給付を受けるためならこのくらいの負担増/例えば消費税の引き上げは仕方ないという合意)、大所高所から制度の見直しを進めてもらいたい。そのためにはお役人ではなくて政治が機能しなければならないと思う。現政権、または次期政権に期待したいと思う。
(文責:イー・ケア・サポート 榎本)
| 介護保険制度を考える | 13:43 | comments(0) | trackbacks(0)
国民負担率を議論すべき
 舛添厚生労働大臣は、7月27日の福祉人材フォーラムで「11月11日を介護の日」にすることを発表した。併せて、人材確保・定着のためには「介護保険料を引き上げる必要がある」こと、「報酬引き上げのための国民の理解を求めていく」姿勢を示したという。
 『言うは易(やす)し 行うは難(かた)し』であろう。これは大臣批判でも単なる悲観論でもない。介護保険スタートから今日までの制度改訂を見ていれば、「財源難による給付水準の下方見直し」の方向性しか見えて来ない。このことに歯止めをかけるのは、一(いち)大臣の言動や介護業界の声だけでは、とうてい出来ることではない。
 要は国として「財源をどう確保するか」、もっと言えば「国民負担率(税負担と社会保険料負担の国民所得に対する割合)」議論をきちんとするべきである。これまで政府は高齢化が最高点に達しても国民負担率は50%に抑えることを目標にしてきている。その過程が今の姿と言えるだろう。
 私が思うに、要介護者ご本人・ご家族、現場で介護に携わる人間にとって、これ以上給付水準が下がることはもはや耐えられないのではないだろうか。新たな財源確保がなされなければ、要支援が介護保険から切り離されることも想像に難くない。また介護職の待遇向上も掛け声だけに終わる恐れは大きい。福祉目的税を含めて、国は国民に対して「このくらいの(税)負担増/国民負担率ならこのこらいの給付(介護、医療、年金)」「もう少し上げてこのくらいなら・・・」「現状なら・・・」という具合に想定できる負担と給付の国民負担率モデルを示すべきである。そのうえで、国民が自助努力重視型の福祉を選ぶなら仕方ないが、現状は「なんとか財源に合わせて給付を押さえようとしている」姿しか見えて来ない。もっとも、お役人が財源を増やす手立てを講ずるのは難しいだろう。財源確保/望ましい国民負担率の合意形成は、まさに政治的課題である。今後、国会の場だけでなく、テレビなど茶の間でも見えるところで、国民負担率議論が活発になされていくことを切に望む。もちろん安易な増税には反対で、「無駄を省く」「使い道限定」と車の両輪で議論が進んで行くことを望んでいる。ちなみに以下に先進国の2005年(日本は2007)の国民負担率を揚げておく。

日本40.1% スウェーデン 70.7% フランス 62.2% ドイツ 51.7% イギリス 48.3% アメリカ 34.5%

(文責 イー・ケア・サポート代表 榎本三千雄)

| 介護保険制度を考える | 16:21 | comments(0) | trackbacks(0)
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